筋トレの真実!筋トレ動作の根拠と真実

筋肉の力とスピードとの関係

大岡理論を理解する上で、筋肉には〈力とスピードを分けられない〉という特性を知ることは重要です。このページでは筋肉の力とスピードとの関係について紹介していきます。

筋肉は力とスピードを分けられない

大岡氏は、他のページにも挙げたスーパーボールを例にして、この緊張状態の筋肉の反発を次のように説明しています。「筋肉は硬くなればなるほど強い反発力を生みます。スーパーボールってありますよね。あの硬いゴムは、硬いからこそ本来の状態から変形させられたとき、元に戻ろうとする力も大きいのです。柔らかなゴムならば、あんなに跳ね上がりはしません。地面などに叩きつけられたときの衝撃による負荷によって変型したスーパーボールは、その硬さゆえに、強くその負荷に反発するのです。ですから、筋肉も同じで、硬く収縮すればするほど強い反発力を生みます。もちろん、筋肉はゴムではありませんが、あえて筋肉以外の物を例にするとしたら、緊張維持からの解放で生まれる力は、スーパーボールの反発力が生まれる仕組みと似ていると言えます。同じゴムでも、この場合はゴムバンドではなく、やはりスーパーボールが一番近いと思います。
筋肉は、必要に応じて硬さの変るスーパーボールのようなものです。硬いスーパーボールで強い反発力を起こすためには、強い負荷をかける必要がありますが、それは筋肉も同じで、硬い筋肉に強い反発力を生じさせるにどうしても必要な過程があります。それは〝一端伸ばされること〞です。収縮する力を発生させるためには、ゴムをその収縮力を超える力で伸ばしてあげる必要があります。同様のことは筋肉にも言えます。筋肉はゴムバンドではありませんが、いったん緊張(収縮)させた状態を作ってその緊張を持続させる限りは、〈それ自体では収縮しかできない〉という条件においてゴムと似た状態になり、伸ばそうとする力が加われば、その伸ばす力に応じて収縮しようとするのです。ゴムの弾性と似た弾性が筋肉にも生じているのです。ここで筋肉の力の発揮に、〝自ら収縮する〞という形態とは違う形態が加わることにお気づきでしょうか?〝収縮する〞ことには違いないのですが、筋肉には、他の力によって伸ばされ、それによって勝手に収縮するゴムのような力の発揮形態があるのです。負荷がかかったときにいったん伸び側に働き、その瞬間収縮するという順番は、伸張反射です。

大岡版『伸張反射』の仕組み

筋肉の破壊図解筋肉の破壊図解ただ、大岡理論で定義付けられた『伸張反射』は、一般的な定義とは少々違っています。そもそもこの反射は神経系のものとして知られています。発生する仕組みとしては、筋肉の中にその伸び縮みを感知する感覚器官(筋紡錘)があり、そこから送られた〝伸ばされた〞という情報を受けた脊髄が、その伸ばされた筋肉を素早く収縮させるように命令を下すとされていて、この一連の現象を『伸張反射』と一般的には言うようです。しかし、大岡理論における伸張反射は、まず単純に、緊張状態にすることでゴムのような性質が生じた筋肉が、引き伸ばされ縮む現象をとらえたものであるとも言えます。ゴムが伸びて縮む現象について考えてみて下さい。縮んだゴムが伸びるのは、ゴムの収縮力を上回った負荷がかかったときです。そしてゴムが縮むのは伸ばしていた負荷が減じるか消えたときです。つまり、伸ばされたゴムが縮むには、負荷が小さくなる必要があるのです。ゴムの収縮力よりも負荷が小さくならなければゴムは伸びたままなのです。とはいえ、最初からゴムの収縮力よりも負荷が小さければ、ゴムが伸ばされることは絶対ありません。言い換えれば、負荷のかかり方が終始一定の場合、ゴムは伸びないか、伸びたままなのです。逆に、伸ばす段階でゴムの収縮力を上回り、その後下回るような負荷なら、ゴムは伸びて縮むことができます。では、そんな都合良く変動する負荷があるのでしょうか?もちろんあります。自然界で最もポピュラーな『重力』による負荷です。
そもそも地球上で重力は、〝物体が地球に向けて落下する力〞だと言えます。そして、この落下の際には、必ず加速が生じます。この加速によって、落下中は、常に実際の物体が持つ質量より大きな負荷を帯びることになります。ところが、落下が終ると加速は消失し、このとき物体は本来の質量分の負荷に戻るのです。ですから、ゴムにかかる重さがその収縮力が可能になり、ゴムを伸ばすことができます。そして加速力が、ゴムに生じた弾性の力(元の状態に戻ろうとする力)や空気との摩擦によって弱まると、今度はゴムの収縮力を負荷が下回ることになり、伸びていたゴムは縮んでいくことになります。これと同じ現象がゴム化した筋肉にも生じるのです。筋肉が負荷がかかったときに伸び側にいったん働いてから収縮を始めるのは、かかる負荷が加速を生む重力による負荷だからです。だからこそ、大岡理論で言うところの『伸張反射』は、重力下で最も正常に働くわけです。さて、ここであらためて、筋肉の力の発揮形態を表現すると次のようになります。

形態①〈筋肉は自ら収縮する〉
形態②〈筋肉は伸ばされることで収縮させられる〉

実は、筋肉が強くなっていくための前提としては、この形態②の状態である必要があります。とにかく〝伸ばそうとする力〞(張力)が加わることが先決なのです。ゴムもそうなのですが、縮もうとするものを伸ばそうとして引っ張ると、組織自体の縮もうとする力とは逆の力が働くので、引っ張る力が縮もうとする力よりも強ければ強いほど、組織は引きちぎられてしまいます。そして、こうして発生した組織の傷は、ゴムであればそのままですが、筋肉の場合は、時間は多少かかるものの修復されます(あまりにも強く引きちぎられて筋肉が完全に切れてしまえば、それは本当の意味での傷となり、怪我を負った状態に等しくなります。もちろん修復は困難を極めます)。この修復が問題なく行われれば、傷ついた部分は傷つく前よりも強くなります。皮膚に負った傷口が治る過程で、破損前よりも盛り上がって強くなるのと同じことが筋肉にも起こります。筋肉は破壊されることで太く強くなるのです。筋肉の増強が、この筋肉の破壊と修復の繰り返しであることはよく知られていますが、ここまでの説明でもお分かりのように、筋肉の増強に必要な破壊が引き起こされるのは、筋肉が伸ばされたときだけなのです。筋肉を伸ばそうとする力(張力)が加わっていなければ、筋肉は強くならないと述べた理由はこういうことなのです。ちなみに、張力がかかっているときの筋肉の収縮のピークが、破壊が主に引き起こされる箇所です。最大収縮位置に近い状態での破壊であれば筋肉の〝起始部より〞で、最大伸展位置に近い状態での破壊であれば筋肉の〝停止部より〞に筋破壊が集中します。

伸張反射に必要な予備的な緊張

筋肉を伸び側に働かせる『張力』の存在が筋肉に破壊をもたらし、それが筋肉の増強に繋がるということが分かって頂けたと思いますが、筋肉をゴムのように働かせる反射を引き起こすためには、まず負荷がかかる前に、筋肉を緊張させておく必要があります。なぜなら、弛緩した筋肉は、伸び切ったゴムが収縮力を失ってしまったのと同様の状態だからです。これではゴムのような性質によって生まれる反発力を十分発揮できません。伸張反射と言うと、ただ単に筋肉が伸びたことに対する反射のように思われがちですが、実はまず〝緊張状態を作り出す〞という行為からスタートしているのです。一度筋肉を、等尺性筋収縮(アイソメトリック・コントラクション)の状態にしてから負荷を受けているのです。
程度の差こそあれ我々は、それが重力による負荷であるなら、一度緊張状態を作り出した状態で受けています。何気なく物を持つ行為においても、持つ瞬間に緊張状態は作られ、目には見えないレベルでの筋肉の伸張は起っています。もちろん、この予備的な緊張で発揮される収縮力を下回る負荷では、筋肉を伸ばすことはできません。また、予備的な緊張で発揮される収縮力を遥かに上回る負荷では筋肉が耐えられませんから、人は負荷に応じた予備的緊張を起こそうとします。持ち上げようとする物に触れ、ある程度力を加えることで必要な予備的緊張を探っている場合もありますが、視覚的に入ってくる情報から推測して予備的緊張を生じさせていることもあります。ちなみにこれを大岡氏は『視覚的緊張』と呼んでいます。

『視覚的緊張』とは

例えば思いきり殴られそうになったときに、思わず身を固くする行為も、重い荷物を投げてよこされたとき、思わず身を固めて準備する行為も、この緊張状態にあたります。いずれにせよ、予備的な緊張で生じた収縮力を加わる負荷がわずかでも上回ったとき、伸張反射はスタートします。伸び側に働く力によって生み出された力、つまり状態②で生まれた力によって、負荷となっている物体に力が加わります。厳密に言えば、少しでも張力がかかった段階で、筋肉は状態①ではなくなり状態②になるわけですが、張力が小さければ小さいほど状態①に近づき、張力が強ければ強いほど状態②に近づきます。状態②で生み出された力は、状態①だけで生み出される力よりも弾性の力が加わっている分強いですから、楽に重いものを持ち上げようとしたり、楽に体を移動させようとするとき、人は自然と状態②の力、つまり伸張反射という性質を上手く利用した力を使おうとするわけです(ちなみに、筋肉の収縮力を物体に伝えるためには、支点が作られている必要が生じますが、それは次回以降のお話になります)。ちなみに、重力下のほとんどの生活動作で伸張反射が起るように、実はスロートレーニングでも伸張反射は起きていますが、それは限りなく状態①に近い伸張反射です。
無反動で行うことになるこうしたトレーニングでは、動作の切り返しの際に、一度動作を区切っていることになり、その切り返しの伸展時が次の伸張反射の出発点になってしまうのです。もちろん、伸張反射が全く発生していないわけではないですが、その反射はどうしても小さなものになります。逆に、下ろしていく動作と持ち上げていく動作が1つの伸張反射の流れを体現していれば良いことづくめです。大きな伸張反射を起こすことができ、安全であるばかりか、非常に強い力を発揮することができます。そして強い力の発揮はより強い負荷を受けることを可能とし、その強い負荷によって引き伸ばされた筋肉には、より大きな筋破壊が生じるというわけです。このことから考えれば、多少の反動(チーティング)を使用したフォームこそがトレーニングの基本となるべきであることが分かるでしょう。




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